play it by ear
音楽を演奏するとき、目で楽譜を見なくても弾ける状態を by ear「暗譜で」と表現します。
耳で聞き覚えた曲を演奏できるということで、次のような使い方をします。
I need to read music when I play piano, but my sister can play by ear.
(私は楽譜を見ないとピアノを弾けませんが、姉は暗譜で演奏できます)
read music は「楽譜・譜面を読む」という意味になります。
譜面なしで楽器を弾くことから派生して、何かを即興で行うことを play it by ear と言います。
状況の変化に応じて、成り行きに任せて物事を決める、といった意味合いです。
A: Shall we order lunch for everyone in advance?
(前もってみんなの分のランチを注文しておきましょうか?)
B: Some people might need to leave before lunchtime, so let’s play it by ear.
(お昼前に出ないといけない人がいるかもしれないので、その場の状況に合わせましょう)
このように play it by ear は、事前に計画を立てたり準備を整えたりせずに、
即興的にぶっつけ本番で行動することを表すイディオムです。
ear を用いた慣用表現
英語には、ほかにも ear を用いたイディオムがいくつもありますが、
音楽に関連するものとしては、be music to one’s ears(耳に心地よい)という表現がよく使われます。
使用例を見てみましょう。
A: Did you hear? This afternoon’s meeting is canceled.
(ねえ、聞いた? 午後の会議はキャンセルだって)
B: Oh, that’s music to my ears! I’ll have time to catch up on my paperwork now.
(え、それはうれしいね! 時間ができて仕事の遅れを取り戻せるぞ)
ここでの music は「心地よい響き」を表し、
music to my ears は「(その話は)私の耳に心地よい=私にとってうれしい」ということを意味します。
また、音楽や言葉が耳に入ることに由来するフレーズだけでなく、逆に何かが耳から出ていくイメージの慣用句もあります。
A: How’s the new semester going?
(新学期はどう?)
B: It’s only the first week and already I have assignments coming out my ears.
(最初の1週間なのに、もう宿題がたっぷりあるよ)
have … coming out (of) one’s ears は、何かが「(耳から出てくるほど)有り余っている、たっぷりとある」
という状態をユーモラスに表現した言い回しです。