冠詞の有無で変わる意味
Do you have time? なら「お時間はありますか?」ですが、
Do you have the time? だと「何時ですか?」と時刻をたずねる質問になるように、
定冠詞の the が付いているか否かで、意味がガラリと変わる名詞があります。
time のほかにも、office もそんな単語の一つです。
会社に外国人から、May I speak to Ms. Suzuki?(鈴木さんはいらっしゃいますか?)と電話がかかってきたとしましょう。
役員の鈴木さんは外出中なので「彼女は会社を出ました」と伝えるつもりで She left office. と返事をしたら、
その外国人はちょっと驚いてしまうかもしれません。
というのも、leave office には「退任する」という意味があるからです。
office は「事務所、会社」といった職場を表すだけでなく、「役職、任務」の意味も持っています。
特に会社の重役や政府の要人など、いわゆる偉い人の職務について使います。
ですので、重要ポストに就く場合に take office(就任する)という言い方をしますし、
反対に「退任する」という場合には leave office または go out of office と表現します。
冠詞を付けて the office とすることで、抽象的な「職務」などではない特定の場所を表せますので、
She left the office. で「彼女は会社を出ました」の意味になります。
POINT
このほかにも、不定冠詞 a の有無によって意味が異なる、よく知られた例を挙げましょう。
・I ate a chicken for dinner.
(夕食にニワトリを一羽丸ごと食べました)
・I ate chicken for dinner.
(夕食にチキンを食べました)
冠詞のない chicken は食べ物としての「鶏肉、チキン」ですが、a が付くとニワトリ1羽を丸ごと表します。